アブダビでは再びマイニングハードウェアの新たな波が到来しました。今回はM70シリーズが登場し、そのスペックの高さが注目を集めています。特に目を引くのは、効率曲線上で12.5 J/THという消費電力です。現在のハッシュプライスが(あの厳しい$35/PH/s/日付近)に低迷している状況を考えると、かなり攻めた数値と言えるでしょう。

製品ラインナップも幅広く、控えめなエアクーリングリグは214 TH/s付近からスタートし、ラックマウント型の大型モデルでは1 PH/sを超えてきます。かなり幅の広い展開で、中規模ファームから倉庫規模の産業プレイヤーまで、幅広い層をターゲットにしていることが伺えます。

興味深いのはこのタイミングでのリリースです。マイニングの収益性がこれほど圧縮されている中で、高効率のプレミアムハードウェアを投入するのは、自信の表れか、あるいは切羽詰まった決断か。12.5 J/THという数値は効率面で競争力のある域に達していますが、現在の報酬水準では利益率は依然として厳しい状況です。これらのマシンでROIを試算するなら、電力コストが十分に安く抑えられているか、あるいはハッシュプライスの大幅な回復を見込むしかありませんが、チャート上ではその兆しはまだ見えていません。

実際に注目すべきはラックスケールモデルでしょう。マイニング業界の集約化が進む中、より大型で効率的な展開が求められており、1 PH/s超のラック単位展開はまさにその流れに合致しています。それでも、現状ではどれだけの事業者が新規設備投資に踏み切れるのか、それとも既存インフラをギリギリまで活用するのか、疑問は残ります。