今年前11ヶ月の中国の産業用ロボット輸出は前年比で61.7％急増し、多くの人がこの分野に関心を持ち始めている。しかし、それに伴う疑問の声も大きい——私たちがこれほど多くの産業用ロボットを世界各国に輸出しているのは、彼らの工業化を手助けしているのではないか？このままでは、他国の工業競争力が強化され、中国製造は取って代わられるのではないか？

一見この論理は間違っていないように思えるが、実際には誤解を反映している。

**蓄積の結果、爆発的な発展**

産業用ロボットの輸出爆発は、突然現れたものではない。中国の製造業は規模が巨大で、自動化生産ラインの普及率も高く、産業用ロボットの需要は他国をはるかに上回っている。長年の国内での実用経験の蓄積により、中国の産業用ロボット企業は技術的に成熟し、コスト管理も良好で、生産能力も十分だ。

去年にはすでに、中国は世界で二番目に多く産業用ロボットを輸出する国となっていた。最近の輸出増加は、主にベトナム、タイ、インド、アメリカ、ロシアなどの国々が機械化生産の需要を一気に解放したことによる。言い換えれば、世界の製造業の需要増加が中国のロボット輸出を牽引している。

**競争はむしろ中国を強くする**

見落とされがちな事実は、世界中が製造業をアップグレードしているという大きな流れの中にあることだ。壁を作って阻止しようとしても無駄だ。阻止できないなら、受け身ではなく積極的に自らをアップグレードすべきだ。

近年の中国の輸出構造の変化はこれを証明している。数年前には「新三種」——太陽光発電、リチウム電池、電気自動車が輸出の勢いを見せていた。今年は新たに「新三種」——ロボット、AI、革新的医薬品が登場し、高度な製造品が輸出リストに顔を出している。

データが語る。ほかの国の製造業も急速に進歩しているにもかかわらず、貿易環境に乱れがあっても、今年の中国はわずか11ヶ月で貨物貿易の黒字が初めて1兆ドルの大台を突破した。この巨大な黒字は、中国が世界貿易競争の中でその地位を弱めていないことを示し、むしろ付加価値の高い製品へと移行している証拠だ。

**人民元の為替上昇の可能性**

輸出黒字がこれほど大きいと、多くの外貨を人民元に換える必要が出てくるため、自然と人民元の価値が高まる。最近の人民元対ドルの為替レートは絶えず上昇し、14ヶ月ぶりの高値を記録し、7の節目を突破した。

人民元の上昇は国内投資家にとっても大きな意味を持つ。上昇過程で、国内の優良資産は再評価の機会を迎える。業績が安定し、競争力のある上場企業の評価額は徐々に高まり、より多くの国内外投資家の関心を引きつける。

経済学者の予測によると、今後10年以内に人民元対ドルの為替レートは6.0付近に上昇する可能性がある。この見通しは楽観的だが、中国経済の長期的な成長への信頼を反映している。ただし、実現には産業の着実なアップグレードと技術革新が必要だ。

**次々に現れる新産業**

数年ごとに「新三種」を打ち出せるのは、中国経済の韧性と技術革新の活力を示している。今後は何が出てくるだろうか？

国家の計画を見ると、新エネルギー、新材料、航空宇宙、低空経済が新興の柱産業として位置付けられ、数兆規模の市場を築くことを目指している。また、量子科技、生物製造、水素エネルギー、ブレインマシンインターフェースなどの最先端分野も、早期に展開し、新たな成長点となる必要がある。

つまり、今後10年で中国はもう一つのハイテク産業クラスターを再構築するチャンスがある。産業の絶え間ないアップグレードと経済の持続的な突破が、人民元の長期的な上昇期待を支えることになる。

この観点から見ると、産業用ロボットの大幅な輸出は、取って代わられることを心配するよりも、中国製造が世界競争の中で絶えず進化している証拠だ。国内の優良企業の価値も、この高品質な経済発展とともに高まっていく。