米国FSOC年次報告:暗号通貨が正式に「システムリスク金融リスク」リストから除外

米国金融安定監督委員会(FSOC)は、最新の2025年度報告書で暗号通貨の規制方針に顕著な転換を示しました。この86ページに及ぶ報告書の中で、FSOCは正式に暗号資産を「システミック金融リスク」監視リストから除外し、米国の規制当局による暗号業界に対する基本的な判断が根本的に変化したことを示しています。

2024年の報告書がステーブルコインの引き出しリスクや市場信頼の揺らぎに焦点を当てていたのに対し、2025年の報告書はリスク警告を主軸とせず、規制の明確さ、コンプライアンスの枠組み、そしてデジタル資産の実際の金融機能を強調しています。FSOCは、分散型台帳技術が取引効率の向上や安全性の強化に実質的な価値を持つことを明確に示しました。

この方針転換の重要な背景には、2025年7月に成立した「米国ステーブルコイン国家イノベーション法案」(GENIUS法案)があります。この法案は、ステーブルコインの発行、準備金管理、リスクコントロールに関する明確な枠組みを提供し、金融安定リスクの低減と米国のステーブルコインイノベーション推進のための重要な制度的基盤と見なされています。

報告書はまた、連邦銀行監督当局が伝統的金融機関による暗号事業への関与に対する態度を調整したことも明らかにしています。FSOCは従来のリスク志向の共同声明を撤回し、一部の暗号事業に対する「事前不反対」承認基準を廃止、銀行がコンプライアンスを満たす前提でデジタル資産の保管、トークン化、ブロックチェーン関連活動に直接参加できるようにしました。

FSOCは、現物ビットコインETFやイーサリアムETFの2025年における成功運用、そして実世界資産のトークン化の加速が、暗号市場の成熟を反映していると考えています。米国貨幣監督庁(OCC)も一部の暗号事業を承認し、Circle、Ripple、Fidelity Digital Assetsに対して初期の信託ライセンスを発行しています。

報告書は、ステーブルコインが依然として違法金融リスクを孕むことを認めつつも、多くのオンチェーン活動は高度な透明性を備えており、イノベーションを抑制することなく規制を強化できると強調しています。FSOCの結論は、米国が「リスク防止」段階から「制度の統合と発展の指導」段階へと進んでいることを示しています。

しかしながら、金融安定理事会(FSB)は同時に、主要な経済圏における暗号規制の違いが規制のアービトラージを引き起こす可能性があると警告しています。米国、EU、シンガポールが新規則の推進を続ける一方で、国際的な統一枠組みは未だ形成されておらず、暗号市場の長期的な安定には、さらなるグローバルな協調規制の実現が必要とされています。

ETH-0.02%
原文表示
このページには第三者のコンテンツが含まれている場合があり、情報提供のみを目的としております(表明・保証をするものではありません)。Gateによる見解の支持や、金融・専門的な助言とみなされるべきものではありません。詳細については免責事項をご覧ください。
  • 報酬
  • コメント
  • リポスト
  • 共有
コメント
0/400
コメントなし
  • ピン