Cysic Networkとは？マイニング2.0時代、誰でも計算力を提供してトークンを稼げる

Cysic Networkは、業界初のゼロ知識証明（ZK）専用の分散型バリデータネットワークです。独自開発のASICチップとコミュニティのGPU算力を活用し、ZKプロジェクトに対して最速かつ最安価な証明生成および検証サービスを提供します。このネットワークはProof of Computeコンセンサスメカニズムを採用し、PoWとPoSの両方の利点を組み合わせています。参加者は算力の提供、トークンのステーキング、ガバナンス参加によってトークン報酬を獲得できます。

ZK証明アクセラレータが不可欠な理由

ゼロ知識証明（ZKP）は、ある当事者が別の当事者に対して、余計な情報を明かさずに主張の正しさを証明できる暗号技術です。この技術は、プライベートブロックチェーンの構築、Layer 1ブロックチェーンのスループット向上、2つの独立したブロックチェーン間の通信促進など、暗号分野で多様な用途があります。しかし、ZK証明の生成過程は極めてリソースを消費し、大量の複雑な数学的演算（指数計算、逆数計算、多項式乗算、大量のデータ移動）を必要とします。

この高い計算要求はビットコインマイニングの場面を連想させますが、ZK証明の生成はさらに複雑です。従来の中央集権的なソリューションは高コストでシングルポイント障害のリスクがあり、分散型バリデータの概念がより堅牢な解決策となります。Cysic Networkは、バリデータの分散化と証明決済の高遅延・高コストという2つの課題を解決するために誕生しました。

イーサリアムにおけるZK証明決済は、コストも遅延も非常に高いのが現状です。現在の解決策は、複数の証明をまとめてからこれらの集約証明をイーサリアムへ決済する方法で、証明検証に必要なガス代はある程度減りますが、待ち時間は増大します。Cysic Networkは、ZK証明決済をイーサリアムの外部に移すことで、満足できるソリューションを提供します。これは本質的にほぼステートレスなプロセスです。

Proof of Computeの仕組み

Cysic Networkは、新しいコンセンサスメカニズムであるProof of Compute（PoC）を採用しています。本質的には確率的でビザンチン耐性のある合意プロトコルです。簡単に言えば、PoCは各エポックで秘密裏かつ公平かつ検証可能なリーダー選出を実施し、公平で公開検証可能な基準に基づいて、いくつかの参加者がブロックをチェーンに提出する資格を得ます。

ブロックチェーンは複数のエポックに分割され、各エポックは固定数のブロックで構成されます。各エポックの合意を得るために、プローバーは以下の手順を実行します。まず、前エポックのパズルを基にプローバー同士が競い合い、委員会を構成します。委員会には最速のプローバーが一定数含まれ、このメンバーが当該エポックでブロックを提案します。次に、委員会が成立した後は、その期間のコンセンサスはCosmos SDK内蔵のPoSコンセンサスメカニズムで達成され、ステークは委員会メンバーに限定されます。

この設計は効率性、公平性、分散性のバランスを取っています。従来のPoWと異なり、PoCの計算パズルはエネルギー消費のためではなく、最も能力の高いプローバーを選出するために設計されています。純粋なPoSと比べても、PoCは委員会メンバーが実際の計算能力を持つことを要求し、単なる大量トークン保有では済みません。

Cysic Networkの3タイプ参加者の役割と報酬

プローバー（Provers）：GPUやASICなどの強力なハードウェアでZK証明を生成します。証明タスクを完了するには一定量の$Token をステークする必要があり、有効なZK証明の生成によって報酬を獲得できます。報酬は一定期間ごとに$Token で分配されます。

バリデーション委員会メンバー（VCM）：プローバーが生成した証明の有効性を確認し、提案の提出やガバナンス投票を行います。ZKPの簡潔性のおかげで、VCMが利用するハードウェアはプローバーほど高性能でなくても構いません。VCMに参加するには$Token トークンのステーキングが必要で、投票権はステーク量に比例します。

エージェント（Agents）：ZKプロジェクトから証明タスクをネットワークに橋渡しし、必要な情報をZKプロジェクトへ返します。初期はCysicが担当しますが、将来的にはパーミッションレス化と必要なトークン担保が求められます。

二重トークンメカニズムとガバナンスロジック

Cysic Networkは二重トークンメカニズム、すなわち$Token と$veToken（ガバナンストークン）を採用しています。$Token はネイティブトークンで、取引のガス代支払い・ブロック報酬・ステーク報酬に利用されます。$veToken はガバナンストークンで譲渡不可、$Token のエスクローによって入手可能です。ユーザーの投票権は$veToken の数量およびエスクロー期間に比例します。

投票機能により、Cysic NetworkはZKエコシステム全体の価値を捕捉できます。プローバーやバリデータは計算能力をプールに提供し、プールは各種ZKプロジェクトへサービスを提供します。また、ユーザーは$Token 購入・エスクローを通じてプールガバナンスの投票権を獲得可能です。計算能力配分は、ZKプロジェクトが提供するトークン報酬など、複数の要因に応じて動的に調整されます。

$Token ステーキングの基本ロック期間は6ヶ月で、報酬配分参加のため延長可能です。ロック期間が長いほど多くの$veToken が取得可能です。ロック期間の違いにより$veToken の割合も線形的に増加します。残りロック期間が短くなるにつれ$veToken も徐々に減少します。参加者は自動再ロック設定も可能で、その場合、$Token の残りロック期間は一定に保たれます。

3段階テストネットロードマップ

Cysic Networkのテストネットは3フェーズで構成され、各フェーズでポイント報酬システムが導入されます。第1フェーズは7月末に開始され、Cosmosベースのブロックチェーン、集中タスクスケジューラー、プロジェクト登録プロセス、プローバーとバリデータ、タスク検証トラッキング、ダッシュボード、ブロックチェーンエクスプローラーなど、ネットワークの基本機能を提供します。バリデータとして参加したユーザーには、その検証貢献度に基づき自動で報酬が付与されます。

第2フェーズは2024年9月初旬に開始予定で、主な追加機能は計算証明メカニズムです。新たなコンセンサスメカニズム導入によりセキュリティと分散性が向上します。このネットワークでは、豊富な計算リソースを持つコミュニティメンバーがプローバーやバリデータとして参加し、計算リソース提供者の報酬を得られるようになります。

第3フェーズはメインネット前の最後のテストネットで、2024年11月末に開始予定です。主な新機能はタスク割り当てプロセス、パーミッションレスのネットワーク参加方法、投票機能などです。プローバーとバリデータは検証可能なランダム関数を計算し、特定タスクの資格有無を決定します。前回テストネットが順調であれば、2025年初頭にメインネット稼働を予定しています。